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高知市百石町にある一次診療施設です

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第7回日本獣医がん学会

 先日、山下は日本獣医がん学会に参加してきました。学会は毎年2回夏と冬に開催され、今回は母校である麻布大学での開催でした。学会では、毎回メインテーマが決められており、テーマに基づく講演、症例発表、議論が活発に行われています。今回のメインテーマは「肥満細胞腫」でした。最近、この肥満細胞腫の挙動について、意外にそれほど悪くないタイプもあることがわかってきました。肥満細胞腫についての新しい知見を飼い主様にもかんたんにわかるように書いてみます。

からだのしこり?

ワンちゃんでもネコちゃんでも、一番多い(見つかる)腫瘍って何?と聞かれると、その答えは体にできるしこりですと答えています。難しく言うと体表腫瘤です。「からだ(皮膚)になにかできてる!」というのは誰にでも気づきやすいというのが理由だと思います。肥満細胞腫というのは、このからだにできるしこりの一種です。一般にしこりというのは千差万別で硬いものから軟らかいもの、いぼみたいなもの、割れているもの、脂肪みたいなものといろんなタイプがあります。肥満細胞腫が一番やっかいなのは、すべてのタイプのしこりで肥満細胞腫の可能性があるということです。そしてこの腫瘍は悪性腫瘍の範疇だということです。触診だけで肥満細胞腫かどうかというのはほぼわかりません。いぼやしこりをみておそらく脂肪だろう、良性病変だろう、ただのいぼだろうと獣医師が触診で経験から推測したとしても、正確な診断には針でしこりから細胞をとる検査をすすめるわけがここにあります。

いっ、いろんな性格があるの?

体表にできる肥満細胞腫というのは、細胞の中にツブツブとした顆粒をもつ細胞が腫瘍性増殖してしこりを作る腫瘍です。よって、この特徴的なツブツブから細胞を採取すると較的容易に診断可能です。そして、診断後、大きく余白をとって手術でしこりを切除しましょうというのが今までの簡単な流れでした。ところが最近では、すこし変わってきています。体表の肥満細胞腫は悪性の範疇とはいえ、意外におとなしくずっととどまっている性格を持つものもいれば、すごく暴れん坊で全身に転移したりする凶悪な性格を持つものもいることがわかってきています。そして、その性格に合わせた治療が必要になることもわかってきています。性格の判断をきちんとすることが動物にとって負担の少なく効果のある治療につながります。

性格はどんなんだろう?

この性格を判断するにはいろいろな材料があります。たとえば犬種。特定の犬種にできる肥満細胞腫はおとなしいものである可能性が高くなります。その他、できる位置、大きくなるスピードなどなどを加味して判断していきます。そして、なにより採取した細胞の顔。この顔つきである程度性格を推測していきます。もちろん、全身状態、リンパ節の状態、遠隔転移があるかないかも重要です。以上をもって総合臨床診断、性格判断をして治療に入ります。

切除だけではない!

性格や進行度を判断した上で治療になります。外科的な切除は腫瘍を根治させる目的において第一選択であることは間違いありません。しかし、腫瘍の性格がおとなしければ内科的な治療でちらしてみるというのも選択肢になりえるかもしれません。とくに多くの箇所にできてしまった場合は一つ一つ切除していたら動物にとってかなりの負担になります。老齢で何度も再発しているようならば、何度も切ることに抵抗があるかもしれません。これらの場合、有効な内科的治療ができれば飼い主様、動物達にとっての負担が軽減されます。近頃、分子標的薬という細胞の受容体にダイレクトに作用する高度な薬もでてきており有効性が認められてきています。分子標的薬によって、もうあきらめかけたものに一筋の光が差すこともあります。


まとめ

肥満細胞腫は、おなじ腫瘍でも性格に違いがあることがわかってきた以上、それにあわせて、どの治療法でいくのかという見極めがとても重要になってきています。肥満細胞腫の治療は外科療法、内科療法、化学療法、放射線療法とバリエーションに富んでいます。これらの治療法をうまく組み合わせて、より負担の少ない、飼い主様、動物達のニーズにあった治療を考えていかなければと強く思いました。もし、肥満細胞腫の治療でお悩みの場合はご相談ください。


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