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高知市百石町にある一次診療施設です

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第8回日本獣医がん学会

 先月下旬、山下は第8回日本獣医がん学会に参加してきました。今回も母校である麻布大学での開催でした。学会でのメインテーマは膵臓腫瘍です。もちろん膵臓腫瘍だけでなく、その他の腫瘍に関する症例の検討、外科・内科的対応の検討なども活発に議論されています。犬・猫の腫瘍診療はオーナー様のニーズもどんどん高くなっており、目まぐるしく進歩していることを改めて実感いたしました。学会の内容をオーナー様が読んでも分かるように報告したいと思います。

インスリノーマの診断

ワンちゃんでもネコちゃんでも、膵臓の腫瘍はそれほど多い腫瘍ではありません。むしろ稀といっても過言ではありません。ネコちゃんにおいてはものすごく稀です。臨床の現場では、膵臓の組織内でインスリンを放出する細胞の腫瘍、いわゆるインスリノーマとしての発見が一番多くなります。ヒトと違い犬ではインスリノーマの挙動は悪性です。インスリノーマにおいては、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが過剰に分泌されるために低血糖という症状(ふらつき、痙攣など)が発現します。低血糖を起こす疾患は、インスリノーマ以外にも存在するために、診断には血糖値の測定と血中インスリン濃度の測定が必須です。つまり、低血糖なのにインスリンが過剰に存在していることの証明です。それとともに、各種画像診断によって腫瘍位置の特定(CT撮影がかなり有効)、転移の有無の確認そして進行度の評価も必要になります。正しく進行度を評価することが、正確な予後の指標になります。

インスリノーマの治療

治療の第一選択は外科的な病変の切除です。周辺へのリンパ節転移や肝臓等への遠隔転移のない場合は外科的に病変を取り除くことによって、生存期間を延長することが可能です。もし転移所見があったとしても外科切除により低血糖の症状緩和が期待できます。ただし、切除後に再発することもあり、再び低血糖が発現することもあります。また、切除後の合併症として逆に高血糖(糖尿病)になることや膵炎を発症する可能性もあります。内科的治療は単独だとあまり効果を発揮しません。あくまで外科治療後の補助的な役割、もしくは外科を適応できない場合の代替策と割り切る必要があります。

リンパ腫と貧血

犬のリンパ腫において貧血が合併していることは少なくありません。なぜリンパ腫で貧血が発生するかの機序はここでは割愛します。今回の学会の内科検討でリンパ腫に合併した貧血への対応法について議論されました。リンパ腫治療と貧血治療、どちらを優先すべきか。輸血の有効性や見極め。一般状態のよい犬のリンパ腫の治療より調子が悪い犬のリンパ腫治療をどうすべきかといったことを考えさせられました。それと同時にリンパ腫治療に使う抗がん剤の用量(ドーズ)をさらに考えさせられました。ドーズをもう一歩踏み込むこと、そのために必要な支持療法を自分なりに検討しています。抗がん剤のドーズについて最近また変化してきていることを感じました。

肥満細胞腫

前回の学会でも肥満細胞腫は取り上げられましたが今回も再び肥満細胞腫は議題に挙げられています。肥満細胞腫への対応は最近変わってきています。外科的に切除というのは大筋で変化ないかもしれませんが、「ではどれだけ外科的に切除するのか」、「切除する前に一工夫しておけばいいのではないか」、「そもそも気合い入れて切除するのが正しいの?」といった細部がかなり変化しています。ただ、闇雲にどでかく切る時代の終わりかもしれません。良型の肥満細胞腫と悪型の肥満細胞腫といった考え方は新しいものです。それとともに、分子標的薬(イマニチブ)という比較的新しい薬についての治療成績もだいぶ発表されてきています。イマニチブのジェネリックが普及すれば治療法がまた少し変わるかもしれません。


まとめ

今回の学会で学んだことをすこしでも動物達、オーナー様に還元できたらと思っています。なにかお悩みのことがあれば気軽にご相談ください。


桟橋動物病院桟橋動物病院

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