イヌの狂犬病予防接種~2024年度~

 2024年3月2日より、狂犬病予防接種は令和6年度予防接種になっています。

 令和6年度の高知市狂犬病予防注射済 犬シール(門標)は、昨年度と同様にベーシックなものになっています。
 ~おそらく昔のようなかわいいイラストのシールに戻ることはないのでしょう…非常に残念です~

 今年度と昨年度のシールの違いは?というと…

 色の違いだけ!

 と思いきや細かい所も変更されています。

なんと!!

 シールの台紙(剥離紙シート)が変更

 されています。

 昨年度の台紙はペラペラな台紙ですぐに反ってペロンしがちでした。

ところが、

 今年度の台紙は厚みが増したこともあり、しっかりとした作りになっています。

 光沢のあるピカピカなシールにはこの台紙がぴったりです。

 多少、高級感がアップしました。

高知県獣医師会の門標 狂犬病予防注射済 犬シール

↑左が昨年度、右が今年度のシール。明らかに台紙(剥離紙シート)が違うことが分かると思います。たぶん私が物心ついた時からずっとこのイラストだと思います。伝統のデザインです。

それに比べて、

 高知市以外の方にお配りするシールの今年度と昨年度の違いは?というと…

 色の違いだけ!

 です。

 マットなシルバーシールは継続されており、台紙(剥離紙シート)の変更もありません。

高知県獣医師会の門標 狂犬病予防注射済 犬シール

↑左が高知県、右が高知市の今年度のシール。台紙(剥離紙シート)があるかないかで見分けが付きやすいのでその点はすばらしいと思います。シールの質感の違いもあるのですがパッと見は区別つけにくいです。

 完全に好みの話になりますが、私は高知市のシールの方が好きです。

 シールなんて別にどんなんでもいい!という意見も当然あるとは思います。

しかし、

 毎年このシールデザインを楽しみにしているオーナー様も少数ですがいらっしゃいます。
 ~当院としての実感です~

 もう少しシールのイラストなどに工夫があるといいなぁと個人的に思います。


 狂犬病予防法 第5条によると

・犬の所有者(所有者以外の者が管理する場合には、その者。)は、その犬について、厚生労働省令の定めるところにより、狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない。

・市町村長は、政令の定めるところにより、前項の予防注射を受けた犬の所有者に注射済票を交付しなければならない。

・犬の所有者は、前項の注射済票をその犬に着けておかなければならない。

 とあります。

 罰則付きの法律があるから狂犬病予防接種を必ず年一回しなければいけない!

たしかにそれはそうなんですが、

 そもそも犬が狂犬病予防接種を必ず年一回しなければいけない理由は、

 人間(そして大切なペット)の命を守るためです。
 ~狂犬病は一度発症すると致死率ほぼ100%という恐ろしい感染症です~

そのために、

 狂犬病の人への感染動物として犬が大多数なので犬の狂犬病予防接種は義務化されています。

なので、

 法律だから接種しなきゃ!

ではなくて、

・私たちも含めた多くの動物の命を守るために接種しなくてはいけない!

・未来永劫、日本で狂犬病をまん延させないためにも定期的に接種しなくてはいけない!

 難しい表現を全部とっぱらって全部ガチャガチャポンすると…

 日本の平和のために毎年接種しなきゃ!

 という意識を持っていただくことが大切なんじゃないかなと思います。

とはいえ、

 日本で狂犬病は、人間は1956年以降発生が無く動物においても1957年以降発生がありません。*輸入症例を除く
 ~日本で狂犬病は撲滅されたといっても過言ではない状況です~

ということで、

 60年以上狂犬病が全く発生していない(輸入症例を除いて)稀有な国にいる以上、多くのオーナー様にその危機感がなくても当然かもしれません。

 日本の平和のために接種しましょう!って言われてもピン!!とこない……

 現実そうなんだろうと思います。
 ~ただ、日本で発生して蔓延してから狂犬病予防接種の大切さが分かった!では遅すぎます~

 「発生することがないような病気の予防接種なんて意味ないよ」

 「狂犬病なんて日本に存在しないよ。もう、毎年うたなくてもいいんじゃない?」

 と思う方さえもいるかもしれませんが、そんなことは絶対ありません。

そもそも、

 うたなくていいんじゃない?存在しないんじゃね?と思える状況にあるのは、

 1950年に狂犬病予防法が制定され、きちんとした予防接種、犬の管理をできるようになったからです。
 ~法律ができる前には日本でも数百頭単位で発生していました~

 30年前にはほぼ100%だった予防接種率が現在の約70%を割ってさらに落ちていくようだと再度発生・蔓延しても全くおかしくありません。

 日本の周辺国では当たり前に狂犬病は発生しているので、何かのきっかけで日本に狂犬病が侵入してそれが蔓延するリスクは常にあります。

 日本が狂犬病の存在を感じさせないほど平和で安全な国であり続けるためにも年一回の狂犬病予防注射の接種をお願いいたします。

そして、

 万一、狂犬病が国内で発生した時に迅速に発生拡大、まん延防止ができるように飼い犬の自治体への登録もあわせてお願いいたします。

もうひとつ、

 鑑札・注射済票の犬への装着もお願いいたします。

厚生労働省 狂犬病予防ポスター2024

↑病院の掲示板に今このポスターを貼っています。鑑札、注射済票の両方ともマイクロチップで代用できるようになればなぁと思います。鑑札、注射済票を犬に装着し続けるのはオーナー様の負担がかなり大きいと私は感じます。


以下、昨年度(2023年3月18日)の当院記事再掲

 狂犬病は人間にも感染する超ド級おそろしい感染症です。一度発症すると致死率ほぼ100%です。

そして、

 世界規模で考えると現在進行形の感染症です。

 その現在進行形超ド級の恐ろしさはGoogle様で狂犬病について検索したらよくわかると思います。

 いつ何時、狂犬病が日本に侵入してくるかもわかりません。

 動物たち、そして私たち人間の健康で幸せな生活のため、ワンちゃんへの狂犬病予防注射はどうしても必要だと思います。

ところでオーナー様の中には、

 毎年の狂犬病予防注射に伴う副作用を心配される方もいらっしゃるかと思いますが、その副作用は大変少ないものになっています。

狂犬病予防接種の副作用

先日のことですが、

 日本獣医師会雑誌をいつものようにパラパラ見ていると、犬用ワクチンの製造状況とその副作用の解説・報告が目に止まりました。

それを読んでわかったことは、

 狂犬病ワクチンは接種が義務化されているだけあって安全性が比較的高いワクチンだ!

 ということです。

・狂犬病ワクチン接種における軽いものから重いものまでの何らかの副作用発現率は10万頭あたり0.452頭で、この発現率は各種混合ワクチンのそれの1/6~1/3倍です。

・狂犬病ワクチン接種における重篤な副作用であるアナフィラキシーの発現率は10万頭あたり0.292頭で、この発現率も各種混合ワクチンのそれの1/6~1/3倍です。
 ~狂犬病ワクチン中のアナフィラキシー誘発物質量が各種混合ワクチンに比べてかなり少ないのが原因みたいです~

なお、

・狂犬病ワクチン接種における死亡率は10万頭あたり0.222頭になっています。【1】

【1】平山紀夫,青木博史.日本における犬用ワクチンの製造状況とその副作用.日獣会誌76:124-128(2023).

この統計データから、

 狂犬病ワクチン接種に伴う副作用はゼロではないが、かなり稀なものである
 ~狂犬病ワクチンは安全性が高い!~

 ことがわかります。

 統計的な数値にはバイアスがあるだろうと思うし、数値がすべてではないので、「これでなんもこわくない」とは思いませんが、

 狂犬病予防ワクチンに対して過度に副作用を恐れる必要はないと思います。
 ~実際、私は15年以上小動物臨床の仕事をしていますが狂犬病予防ワクチンの副作用を経験したことは1度しかありません~

 稀な副作用よりも狂犬病を予防するというメリットがはるかに上回ると思います。

 集合注射でもかかりつけの動物病院でも、どこで接種してもよいと思うので、大切なワンちゃんには狂犬病予防接種を年に一度必ず接種していただくようお願いいたします。

2024年03月15日