イヌのフィラリア予防注射

 今年も一般的なフィラリア予防のシーズンがやってきました。イヌのフィラリア症についてのくわしい説明は割愛しますが、イヌのフィラリア症は治療する病気ではなく、予防する病気だと私は思っています。フィラリア症は大切なワンちゃんの命にかかわる恐ろしい病気であることに間違いはありません。

 イヌのフィラリア予防薬としては、様々な剤型があります。よくある月に一度飲むお薬、フロントラインのように皮膚に塗るスポットタイプのお薬、年に一回注射で予防するお薬。このような様々な剤型には、メリットデメリットがあります。

 当院では、月に一度飲むタイプの様々なお薬が超圧倒的な主流なのですが、ここでは年に一度の注射で予防するお薬についてかんたんに紹介します。こんなお薬も準備しているよというだけのお知らせです。

 めちゃくちゃかんたんに注射のメリットを考えると、「飲み忘れもなくフィラリアを通年予防できること」だと思います。予期せぬフィラリア感染も排除できます。

 デメリットを考えると、「注射の有害な副反応がおきるかも」だと思います。注射の有害事象というのは、かなり稀ではありますが可能性としては0ではありません。ワンちゃんの年齢、全身状態、アレルギー歴などなどを十分に考慮した上での注射が重要になります。

 当院では、一年に一度のフィラリア予防の注射(プロハート12)は特に推進しているわけではないのですが、オーナー様の希望があれば対応できるように準備しています。フィラリア予防の一般的なシーズンである4月・5月のみフィラリア予防の注射(プロハート12)を接種できるようにしています。

↑プロハート12というお薬。薬剤調整しやすそうなさわやかなブルーの箱。

↑緑キャップのネバっとした液体を赤キャップの粉に混ぜて薬剤を調整します。この調整が嘘みたいですが非力な私にはかなりの力作業になります。年に何回かの薬剤調整作業のために6月~3月の期間、上腕から指先のトレーニングをします。嘘みたいな話ですが。

↑スタッフに、「大げさな!」と思われながら調整完了したプロハート12の注射液。調整後はマックス8週間しか使用できません。

 当院では毎年、4月・5月以外は、フィラリア予防の注射(プロハート12)を全く用意していないので対応できないことをご留意ください。今年も今日現在は予約なしでいつでも注射できるように準備してあります。

 飲むタイプ、スポットタイプ、注射タイプ。どれが一番いいのかというのはケースバイケースで全くわかりません。オーナー様やワンちゃんの状況で全く変わってきます。

 ただどんな方法でも、「とにかくフィラリアを予防しよう!」という気持ちが、ワンちゃんの命を守ることにつながります。

 

2021年04月03日