ネコの腎性貧血と鉄

 ネコちゃんが比較的飲みやすいのではないかと最近思った錠剤があります。

 プロラクト鉄タブという動物用健康補助食品です。いわゆるサプリメントに分類される錠剤です。

↑赤血球を意識したのか、鉄を意識したのか、赤基調のデザイン。洗練されたデザインです。「鉄は熱きうちに打て!」土佐塾さんのCMが脳裏にかすむ…

 ネコちゃんでは慢性腎臓病にともなって貧血になってしまう場合があります。これを腎性貧血と呼びます。

 腎臓で分泌されるエリスロポエチンというホルモンが不足することにより赤血球の産生が低下してしまう。

というのが原因の一つになります。

 この貧血が重度に進行した場合、ヒト用エリスロポエチン製剤を獣医師の裁量により使用することがあります。

 不足しているエリスロポエチンを注射で補うイメージです。

↑獣医師の裁量で使用するネスプさん。昔、駄菓子屋にあった昭和の玩具、ロケット弾を思い出しました。

 昔はエスポーという製剤をよく使用していたのですが、近年はネスプというエリスロポエチン製剤を使用しています。

 なぜならば、ネスプはエスポーに比べて有害事象がすくない印象があり、さらに持続型製剤のために週に一度の注射で効果を発揮できるからです。ネスプは非常に使い勝手がよいと思います。

で、

 ネスプを投与して赤血球の産生が再びはじまると、当然赤血球の材料が必要になります。

 かんたんに言いかえると、

工場が動きだしても、材料・部品がないと製品を順調に製造できない。

ということです。

 赤血球の産生において、材料・部品にあたるのが、鉄でありビタミンB群であり、葉酸などになります。ネスプを投与した時は、同時に鉄やビタミンB群、葉酸などを同時に投与すると造血に効果的です。

 当院では、腎性貧血、とくにネスプ投与時にプロラクト鉄タブを症例によっては併用しています。

 理由は、あくまで私が診る範囲内での話ですが、よく飲んでくれるからです。投与の確実性です。

 正直、プロラクト鉄タブの1粒あたりの組成をみると、「鉄やビタミンなど用量が少ないかな?」とも最初は思いました。まあ、サプリメントなのでこんなものなのかなと。

 ネスプ投与時は1日1粒では足りないと思います。プロラクト鉄タブ1粒では鉄などの用量が不足します。

 しかし、サプリではなく薬剤であるフェロミアなど「フェなんちゃら」といった鉄剤、フォリアミンなどの葉酸剤、その他ビタミン剤に比べてよく飲んでくれます。

 とにかく、飲まなきゃはじまりません。

 1粒の用量が不足するなら、複数粒飲めばすこしでも用量を補えます。

 プロラクト鉄タブはカマボコ風味らしいので、それもこの嗜好性に影響していると思います。

↑プロラクト鉄タブは、ほどよい大きさの錠剤。魚味のフレーバーが嗜好性に効果を発揮します。

 ただでさえ慢性腎臓病で食欲が低下している状態なので、嗜好性の高い錠剤がいいように思います。

 そんなこんなで、他の原因のネコちゃんの貧血に対しても場合によってはプロラクト鉄タブを使うこともあります。多少の副作用がでることもありますが、使いやすいサプリメントです。

 こんなサプリメントもあるよということで、以上あくまでも私の個人的な感想、考えの話でした。

2021年06月02日