4月から5月頃は幼猫ちゃんを保護したということで来院されるオーナー様が増加する傾向にあります。
保護された幼猫ちゃんの健康診断の依頼もよくうけます。
このような場合、一通り身体検査を行います。
身体検査と同時に検便(便検査)も重要となるので
オーナー様に便の提出もお願いいたします。
そんな中で、
先週から数件、糞線虫寄生の猫ちゃんを診察しました。
糞線虫、とくに今回診察したのは猫糞線虫なのですが比較的珍しい寄生虫だと思います。
私は久しぶりに糞線虫寄生の猫ちゃんを診察しました。数件続発したことにすこし驚いています。
↑当院の顕微鏡で見つけた猫糞線虫卵。顕微鏡の接眼レンズにiPhoneあてて撮影しただけなのですがけっこうきれいに撮影できます。浮遊法で検出できました。卵の形で排出されているので猫糞線虫だと思います。
猫糞線虫は猫の小腸に寄生する寄生虫で猫ちゃんに下痢を引き起こします。
幼猫ちゃんの場合、下痢が続いて衰弱して命にかかわる場合もあります。
糞線虫は、人間に皮膚を通して感染することもあるので注意が必要な寄生虫だと思います。
ここで大切だと思うのが、
幼猫ちゃんを保護した場合、どこの動物病院でもいいので
まず
検便(便検査)を受けてください。
下痢をしているならなおさら検便(便検査)は非常に重要になります。
検便前後にかかわらず
幼猫ちゃんの便を片づける時はできるかぎり手袋などを使い素手で扱わない方がいいと思います。
先住猫ちゃんがいる場合はしばらく幼猫ちゃんとの接触を避けた方がいいと思います。
たとえ一回の検便(便検査)で異常がなくともしばしの間経過観察したほうがいいと思います。
猫ちゃんの消化管寄生虫症はきちんと診断して粘り強く治療をすれば治る疾患です。
古典的な検査だとは思うのですが、やはり
検便(便検査)
というのは小動物領域で重要な検査だと思います。
ここからは痛い思い出話なのですが、
私が獣医師なりたて、駆け出しの県外での代診時代、代診先の病院に慢性消化器症状(下痢)の犬がいて先輩の先生達がよってかかってどうにもならないからと、
大学病院に紹介させていただきました。
で、結果は
犬鉤虫症
でした。
駆虫で完治しました。恥ずべき結果です。
初歩的な検便(便検査)の重要性が痛いほどわかった経験です。
基本に忠実に検便(便検査)を粛々とこれからも実行していきたいと思います。