イヌの心臓エコー検査

 私は循環器の専門医でもなければ認定医でもないので、循環器診療にとくに詳しくはないということを最初にことわったうえで、当院で行っている犬の心臓エコーについてご紹介いたします。一般内科診療レベルでのお話です。

 当院で心臓の検査をする場合、ほとんどが通常診察時の聴診で心雑音がする、もしくは「最近、変な咳みたいのをする」という主訴からの検査が多くなっています。

 心臓の検査の場合、動物の状態にもよりますが、ワンちゃんをお預かりして検査します。心臓の検査には、身体検査・心電図・レントゲン・血液検査・エコーなどがあります。

 どれが大切な検査というわけでもなく、すべての所見を総合して診断します。

 今回は、心臓検査の1検査として心臓エコー検査のかんたんな紹介です。

 心臓エコーは、全身麻酔も必要なく、放射線被ばくの心配もなく、それでいてリアルタイムに心臓の様子を観察できるとても有用な検査だと思います。

 心臓のどこが(なにが)悪いのか?心臓病の進行度はどれくらいなのか?を評価するための一つの手段として、私は心臓エコー検査をしています。

 文字ばかりでは、読む気もなくなると思うので、エコー画像とかんたんな説明で簡潔に説明します。私の個人的なエコーの見方です。すべて当院で検査したワンちゃんの画像です。

 当院では可能な限り全症例で、心電図を見ながらエコー検査をしています。

 まず、かんたんに左右の4つの心臓のお部屋の大きさのパット見バランスをみます。最初は主観的な評価を私はします。

↑実際の僧帽弁の形態をみてみます。上の写真は、弁が厚くなってきれいに弁が閉じられていません。要するに僧帽弁閉鎖不全です。

心臓の各お部屋の大きさを測ったり、比べたりします。

↑大動脈の大きさと左心房の大きさを比べます。小さな1と書かれてるのが大動脈です。なるべく客観的な評価を試みます。主観から客観へと見方を変えていきます。

各お部屋や大動脈、肺動脈に対して、血流に色をつけるカラードップラーをかけてみます。正常な心臓では青と赤の世界なのですが、逆流や乱流があるとレインボーみたいなモザイクに見えたりします。

↑あまりいい画像ではないですが、右下に向けてレインボーなモザイクが見えます。これが左室から左房への逆流を示しています。

本来はない逆流を見つけると、それがどれくらいのスピードかな?と思って速度も測ってみます。

↑剣のように基線から下向きにシャァーとなって白く見えるのが心臓収縮時の逆流速度の計時変化で最高速度などを見てみます。この剣の形もいろいろ意味があります。

心臓が弛緩したときの左房から左室への流入速度も見てみます。

↑あまりいい画像ではないですが、上向きにシャーっとなっている二つのお山の速度も見たりします。e波、a波というものですが詳しい説明は割愛します。左房の中の圧力がどんな具合かな?という指標になったりします。

 その他いろいろ計測に凝りだすとマニアックになってくるので、私はここで紹介したものとその他いくつかしか計測系、測定系統はしていません。

 2年前くらいから心臓エコーと同時に肺のエコーも始めるようにしました。いい画像を保存してなかったので画像は割愛しますが、肺水腫の検出率がかなりあがっています。

 状態の悪い症例ではレントゲン撮影がおそろしいので、エコーをあてるだけで肺の状態が分かる肺エコーはすごく助かります。

 私は左利きなので左手でエコープローブをもって操作して、同時にエコーのマシンのタッチパネルやらトラックボールなどを右手で即効チャカチャカ・コロコロします。結構頭を使います。検査全体をスピーディーに終わるための同時チャカコロ処理になります。

 そんなこんなで、心臓エコー(場合によっては肺エコー)検査から、心臓の悪いところを発見し、進行度を評価しています。もちろんその他の検査結果もすべて見てからの最終診断につなげてます。

 もし、当院で心臓の検査を検討される場合は、お気軽に獣医師・看護師に気軽に声をかけてください。心臓病の症状が出る前に、早期発見、早期アクションをとることが非常に重要だと思います。

 

2021年03月14日