↑犬のアジソン病最新記事。アジソン病の維持治療について紹介しています。この記事と併せてご覧ください。
今回のおたよりは海外から輸入したフロリネフもアジソン病の治療薬として準備しましたというお知らせです。
犬のアジソン病は副腎皮質機能低下症とも呼ばれる病気です。
様々な原因で副腎が委縮することによって、副腎から必要なホルモンがでなくなって発症する病気です。
どんな症状がでるのかというと、
個人的にはなんともつかみづらい症状な気がします。
食欲不振、嘔吐といった消化器症状、なんか元気ないという主訴で来院されることが多いと私は思います。
あえてアジソン病ってこんな症状かな?と私が経験上思うのは
症状がよくなったり、悪くなったりすること
と思います。
あと、けっこうヤングなワンちゃん、それこそ1歳にもならないようなワンちゃんでもありえる疾患だなという印象です。
オーナー様の主訴から、すこしでもアジソン病が鑑別診断リストにあがるときは、血液化学検査で電解質も測定します。
電解質の異常が(定形の)アジソン病に特徴的だと思います。
臨床症状、電解質異常、その他の検査結果から強くアジソン病を疑う場合は、さらに内分泌ホルモン検査を行い確定診断をするようにしています。
当院ではフジフィルム様の測定機器のおかげで、電解質を安定して正確に測定できます。内分泌ホルモンも院内で測定できるようになっているので診断は迅速にできるようになっています。
確定診断後は症状に応じて治療していきます。
重度な症状の場合は点滴治療などが必要ですし、症状が軽度または重度から軽度になった場合は飲み薬での維持治療になります。
維持治療のイメージとしては、
飲み薬によって足りないホルモンを補っていく
という感じになります。
適切に飲み薬を毎日投薬してきちんとワンちゃんの状態を随時モニタリングすれば、確実にコントロールできる病気になります。
とはいえ、この病気の代表的治療薬であるフロリネフ(酢酸フルドロコルチゾン)は当院においては比較的高価なお薬になります。
当院では酢酸フルドロコルチゾン製剤を1種類しか用意できていないことも比較的高価な理由になります。
一生涯の投薬が必要となる疾患でお薬代が高価だとオーナー様の経済的負担はかなりのものになります。
近頃、アジソン病のお薬代のことで相談を受けることも徐々に増えてきました。
「インターネットサイトで、フロリネフがめっちゃ安いから個人輸入してもいいですか?」
と聞かれたこともあります。「オーナー様個人での輸入はいろいろなリスクもあるかもしれない」と答えていました。
そんなこんなで、
今月下旬から信頼できる輸入代行業者様を通して、確かなメーカー・仕入れ先より輸入した海外のフロリネフも使用することにしました。
↑左の緑が海外のマイラン様のフロリネフ。右の赤がアスペンジャパン様のフロリネフ。ラベル以外にほとんど違いがありません。あえていうとマイラン様が冷蔵保存、アスペンジャパン様が常温保存という保管指示の違いです。
当院では、日本で販売されているアスペンジャパン様のフロリネフと海外のマイラン様のフロリネフを現在用意して、(獣医師の裁量権により)治療に使用しています。
どちらのフロリネフも超厳密に全く同じかはわかりませんが、薬の効果は同等だと思います。薬価は海外の方が安価になります。両者、きちんとしたブランド品のフロリネフです。
↑左がマイラン様。右がアスペンジャパン様。錠剤の刻印も両者同じです。錠剤の大きさや色、重量も同じです。混ざったらどっちがどっちか分かりません。
↑ちなみに割線も同じ感じです。触った触感も同じです。とにかくシャッフルしたらどっちがどっちか全く分からないように思います。
海外のフロリネフをオーナー様が選ばれた場合、確実にオーナー様の経済的負担は減少すると思います。
両者のフロリネフについてオーナー様によく私からご説明したうえで選択していただこうと思っています。
犬のアジソン病やフロリネフのことでご相談がある場合は、必ず副院長を指名して当院に午後来院してください。
なお、電話でのご相談については原則お受けしていません。