最終更新日:2025年5月14日
犬の交配に関して、
「犬の膣スメア検査をしていますか?」
「犬の繁殖に関係するホルモンの検査をしていますか?」
などの問い合わせをいただくことがあります。
検査の話だけでなく
「今度、犬の交配をしたいんだけどいつごろがよいでしょうか?」
という相談をいただくこともあります。
繁殖関連の相談は緩徐に増えている様な気がします。
これには、
2021年6月1日施行の改正 動物の愛護及び管理に関する法律も関係しているんじゃないかな?と思っています。
改正動物愛護法ではブリーダー様などに対して、
メス犬の交配は6歳まで、生涯出産回数は6回まで(出産回数によって例外規定あり)
というように犬の繁殖年齢や繁殖回数に制限がかけられています。
この制限に呼応するように
より確実性のある交配を求められるようになってきているのかなぁと思います。
今回は、当院での犬の産科診療の中でもワンちゃんの交配適期診断に対する当院の取り組みを紹介したいと思います。
交配適期診断について「私は今こう考えています!」ということを書こうと思います。
~学会参加やブリーダー様とのお話を通して常に診断法や細かい数値の修正・アップデートをしているので、あくまで「今の」話になります~
~そして、話には個人的な見解も混ざっています~
ちなみに交配適期とは、
メス犬の発情期の中で一番妊娠しやすい交配に適した時期=交配のいいタイミング
のことです。
犬の交配適期やプロジェステロン値測定のよくある質問については最新記事「続 イヌの交配適期とプロジェステロン」を閲覧してください。この記事とあわせて読むとよくわかると思います。
①発情出血を目安とした交配適期
犬の交配をしたいんだけどいつごろがよい(妊娠しやすい)でしょうか?
という質問に対しては
まずは、発情出血(ヒートや生理と呼ばれるもの)の有無をよく観察していただいて、
発情出血開始後、11日と13日の2回交配
もしくは
発情出血開始後、11日と13日と15日の3回交配
をおすすめしています。
じゃあ、上記のように1日おきでなくて、
毎日交配したら(妊娠の)確率があがるんじゃないか?
と思うかもしれませんが、毎日の雄犬の射精は精子数減少につながるので必ずしもそうではありません。
2回交配であれば80%程度、3回交配なら90%程度の受胎率が報告されています。
膣スメアがどうとか、ホルモン測定がどうとか言う前にまずは発情出血をよく観察していただきたいと思っています。
オーナー様が一番かんたんに交配適期を予想できる方法だと思います。
ただ、排卵時期の個体差もけっこうあるので、この方法に固執するのはよくないと思います。
~発情出血開始から排卵までの日数がかなり短い犬もしくは長い犬も10%程度存在するという報告があります~
このような理由で、
発情周期を1~2回経てもこの方法でうまくいかない場合は次のステップに速やかにすすんだほうがいいと思います。
では、次のステップとは何か?
このことを説明する前に
すこし犬の繁殖生理学的なことを考えたいと思います。
②LHサージと排卵、そしてメス犬の交配適期
LHサージと急に書かれても、専門用語でなんのことか分からない!
という方も多いと思いますので超簡単に説明させていただくと、
ヒトも含めて多くの動物では排卵の前に黄体形成ホルモン(略称LH)が下垂体から一過性にドカンと放出されます。
~犬では、LHの上昇から下降は24時間以内に終わってしまいます。マリオカートのダッシュキノコのような加速減速感です~
このような、
黄体形成ホルモン(LH)が下垂体から一過性にドカンと放出
されることを
LHサージ
と呼びます。
犬の場合、発情出血開始から8日前後でLHサージが起こります。
~とはいえ、発情出血開始から何日でLHサージが起きるか?は個体差がけっこうあります。そのため発情出血目安の交配適期予測には限界が生じています~
~犬の発情周期で言えば、発情前期と発情期の切り替わりの時がLHサージの日です~
そして、
LHサージから2~3日後に排卵が起こります。
さらに、
排卵から2~3日して卵子が成熟(受精能獲得)します。
~排卵してすぐの卵子に受精能はありません~
成熟後の卵子の生存期間は1日(長くて2日)になります。
~これを言い換えると、一回の発情周期の中で卵子が受精できるのはたった1日しかありません~
ということで、
ここまでの数値を単純に足し算すると、
LHサージの日から数えて、4日~7日(長くて8日)が
受精可能な卵子が卵管に存在するメス犬の交配適期となります。
~精子の子宮内生存期間5日程度も考慮して交配します~
実際には、
LHサージの日から数えて4~5日で1回交配
もしくは
LHサージの日から4日と6日で2回交配 or 5日と7日で2回交配
が妊娠する確率も高くなってよいかなぁと思っています。
このように
LHサージの日をカチッと決めること
が交配適期を判断するのに超重要になります。
なお、犬の発情周期に関しては当院サイトの「Alizin=アリジンとプロジェステロン」にも少し書いています。下のボタンからご参照ください。
③LHサージの日はいつ?
交配適期を判断するのに超重要なLHサージの日ですが、いったいどうやってその日を決めるのでしょうか?
黄体形成ホルモン(LH)の値を直接測定すればよくね?
と思うかもしれませんが、
私が知る限り、犬の黄体形成ホルモン(LH)は商業ベースでは測定できません。
ヒトのような尿中LH検査キットみたいなのもありません。
そもそも一日でドカンと上がって下がるようなホルモンの動きを捉えることは仮に測定できたとしてもコスパが悪すぎます。
じゃあどうするの?
さっきの問いの答えにもなりますが、
LHサージの日を決めるために重要なホルモンはプロジェステロンになります。
プロジェステロン値の変化をとらえることによりLHサージの日を決定します。
④プロジェステロン値からLHサージの日を決定
プロジェステロン値(基礎値)は無発情期や発情出血開始直後はかなり低い値になります。具体的な数値を書くと1ng/ml前後です。
それがLHサージが起こるとグン!と変化=上昇します。
難しいことは全部ぜ~~~っんぶ割愛しますが、超かんたんに言うと
プロジェステロンはLHサージの日に基礎値からグン!と上昇する
そういうタイプのホルモンと覚えておいてください!
この上昇の切り替わりのところ、数値にして2~4ng/mlにあがる日こそがLHサージの日になります。
私の理解としては、
単回測定で数値が2~4ng/mlだからLHサージの日ではなくて、
~絶対的な数値が指標ではない~
基礎値からグン!と上昇している。その結果として2~4ng/mlになっているからLHサージの日である
~相対的な数値が指標~
と思っています。
したがって、
プロジェステロンの基礎値を知ること、基礎値からのグン!上昇を知ること
がどうしても必要だと私は思っているので、
当院では発情出血開始5日前後からプロジェステロン値を測定するようにしています。
その後、オーナー様の都合にあわせて2~3日ごとに測定していきます。
①で掲げた次のステップとは何か?の答えが
プロジェステロン値の経時的な測定
になります。
~もちろん他の不妊の原因も考慮しなくてはいけませんが…交配のタイミングだけがすべてではありません~
LHサージの日が決定すれば、自動的に交配適期も決定します。
②で説明したように
LHサージの日から数えて4~5日で1回交配
もしくは
LHサージの日から4日と6日で2回交配 or 5日と7日で2回交配
が交配適期になります。
LHサージの日を意識せずに、
プロジェステロン値が単回測定で10ng/mlを超えていい感じの数値だから、交配にいいタイミングだろう。
プロジェステロン値が単回測定で3ng/ml前後だから排卵日だ!あと2日くらいして交配しよう。
というように、
プロジェステロンの絶対的な数値で交配を判断することは、経験や勘があって、動物観察をよくしているブリーダー様にはよいのかなぁとは思います。
とはいえ、単回測定もたしかによいとは思うのですが、
犬種サイズごとのプロジェステロン値の推移グラフをみる限りやや正確性に欠けるかなぁとも思います。
~とくにLHサージ以降のプロジェステロン値の上昇具合は犬種サイズによってかなり差があります~
ちなみに、
プロジェステロン値を使った交配適期診断は、
発情出血が分かりづらい!
つまり
陰部からの出血量が少ない、出血をすぐ舐めてしまうようなワンちゃん
専門的に言うと鈍性発情の犬の交配適期診断にも力を発揮します。
⑤では、膣スメア検査はどうなの?
昔から交配適期の判断に膣スメア検査が実施されてきました。
粘膜採取のために濡れた綿棒みたいなのを膣の中に入れて細胞採取。その後、染色をして角化上皮細胞の(有核or無核細胞の)比率を診るような検査です。
たしかに
簡単に院内でできるし、費用もそれほどかからない、特別な設備もいらない
のでよい検査だとは思うのですが交配適期にはあまり適さない検査かなぁと思います。
はっきりいって、
膣スメア検査だけで正確な交配適期は分かりません!
~だいたいのことしかわかりません~
なぜならば、
膣の粘膜組織図を見るとわかるのですが、あの薄い粘膜組織をどの深度で採取してくるかによって角化上皮の比率なんていくらでも変化しそうと思うからです。
~膣スメアの変化にも個体差がけっこうあるし…~
私は膣スメア検査単体で交配適期を考えることは今はしていません。
~プロジェステロン値+膣スメア検査であればまだよいとは思いますが~
ちなみに、
犬の膣スメア検査の時期は?
というと発情出血開始5日前後から開始して数日ごとに検査を繰り返して経時的な変化をみることを私はおすすめしています。
膣スメアの単回検査はほとんど意味ありません。
1回だけの膣スメア検査のご依頼もよく受けるのですが、正確性に欠けることをお伝えしています。
⑥プロジェステロン値の測定が気軽に!
プロジェステロン値に注目することが重要なのはわかっていました。
しかし、
ずっと院内で手軽に測定できませんでした。
検査しようとしたら、採血して血清を採取して検査センターで測定してもらう。これが通常でした。
オーナー様からの依頼で「血清だけ作ってください!あとは自分で測定できるとこに送るんで」というのもよく経験しました。
いずれにせよ、
はやく知りたい数値なのに結果がわかるまで数日かかる。
獣医師にとってもオーナー様にとってもちょっとしたストレスになっていました。
それが今では、
フジフィルム様の免疫反応測定装置によって、院内で15分弱で測定して結果がわかるようになりました。

↑もう何度も紹介していますがこの免疫反応測定装置は地味に大活躍しています。院内で様々なホルモンを測定できることによるメリットは大きいと思います。測定結果をただの数値ではなく、いかに価値あるものにするかが獣医師としての腕の見せ所だと思います。オーナー様にわかりやすくその数値をプレゼンテーションするにはどうしたらいいか?を日々考えています。ちなみにフジ様のマシンはプロジェステロン値で2~4ng/mlの範囲は高価な精度の高いマシンと相関性がかなり高いようです。フジ様のマシンは迅速に測定できてLHサージ判断に適していると私は思っています。
当院ではいつでもプロジェステロン値を測定できるように検査キットを常備しています。
↑フジ様のプロジェステロンキット。PRGといえばRPGなんですがポケモンSVではニャオハは進化してマスカーニャまでいきます。なんでどうして最終進化系をあんなに細身で長い感じにするのでしょうか?メッソンからインテレオンで感じた違和感がポケモンSVにもあります。ポケモンのアニメでもエースバーンの違和感は半端ないです。ゴウとエースバーンのツーショットに違和感感じます。エースバーンさん、なんでサッカーみたいなこと始めるんですか、進化したら。拝啓ヒバニーさん、そんな人ではなかったはずですよ!そのままのあなたで進化してください。サッカーは平和のスポーツです。進化するにつれて細身にするのはデザイン的にやめてもらいたいと思います。わかる人だけわかればいいというスタンスでここは書いてます。なお、すべて個人的見解です。
膣スメア検査を重視しなくなったのは、院内で手軽にプロジェステロンを測定できるようになったからというのもあります。
今回の当院おたよりを読んでプロジェステロン値測定に興味を持たれた方は、ぜひ副院長にご相談ください。
⑥今回のまとめ
自由交配でも発情出血目安の交配でもそれでうまくいけばそれで全く問題ないと思います。
ただ、
それでうまくいかない場合、もしくはもっと確実性をあげたい場合(人工授精はなおさらのこと)は、
プロジェステロン値から交配適期を判断する
ことを検討していただくといいんじゃないかなと思います。
私が交配適期の診断と説明で個人的に気をつけているのは、
~ほんとにただの個人的な見解です~
そのプロジェステロン値に価値をもたせることです。
複数のホルモンのダイナミックな動きの中ででてきた数値なので
「はい、2.6ng/mlですから交配適期はこの日ですね」
という説明だけではなく
受精という生命の神秘に対する客観的なデータに基づく精緻なストーリー
を構成してオーナー様にプレゼンテーションしたいと思っています。
プロのブリーダー様と比べて交配適期・交配に関する経験やカンが私は圧倒的に不足しています。
そのぶん、獣医師として客観的な検査や数値から交配適期・交配を考えるようにしています。
交配にもっともいいタイミングを客観的な数値から判断することは非常に価値あるものだと私は思います。
ブリーダー様やオーナー様、獣医師。それぞれの力をあわせれば交配がよりよいものになると思います。
当院で交配適期の診断や検査を希望される場合は、副院長を必ず指名して来院していただきますよう重ねてお願いいたします。
以下の記事は2025年5月14日に更新
犬の交配適期に関する相談をいただく中で私が今、考えることor思うことを思いつくままに書いていきます。
なお、
私は繁殖を専門にしているわけではない一般臨床医です。
私の個人的見解もところどころ含まれていることはご了承ください。
①熱心なオーナー様が多い
犬の交配適期に関する相談で来院されるオーナー様はほぼ例外なく熱心な方である印象です。
熱心??
熱心とはどういうことなのか具体的に書くと…
交配適期の説明の中で、ホルモンの話や発情周期の話などかなり専門的な内容まで私は話すのですが
その内容に対してオーナー様は嫌な顔一つせずによく聞いてくださります。
~ちなみに、私が書いているこの記事も隈なく熟読されている方がほとんどです~
そして、
オーナー様から、
「私はここをこう思ってますが先生のご意見は?」
のような感じで質問がどんどん飛び出します。
~斜め上から質問が飛んでくることもよくあります~
たまに、
(オーナー様が)誤解されている内容もあるのですが、そのような内容は私の説明を通して素直に理解してくださります。
そんなこんななので、
いつも建設的な議論をすることができます。
~診察時間が長くなりがちですが…~
なお、
交配に関する電話での相談、質問は全てお断りしています。
②発情出血開始日って…
交配適期の目安として、発情出血開始日(=発情前期の徴候)を一般的に指標にしていることは前述した通りです。
また、
初回のプロジェステロン測定は発情出血開始日から5日後の来院を当院ではお願いしていることも前述した通りです。
~電話でプロジェステロン測定の依頼を受ける時は「今、発情出血開始から何日目ですか?」と私は必ず尋ねるようにしています~
このように発情出血開始日というのは交配適期やプロジェステロン測定を考える上で非常に重要な日になります。
ただ、
この重要な日は曖昧かつ、はっきりしない日でもあります。
「発情出血開始の日なんて(陰部)見たらすぐにかんたんにわかるでしょ」
「毎日いっしょにいるから(その日を)間違うはずないよ」
「曖昧ってどういうこと?」
と思うオーナー様も存在するかもしれませんが、全然そんなことありません。
発情出血開始の日を正確に知ることはかんたんなようで難しいことです。
なぜならば、
・発情兆候が弱くて最初の出血がよくわからない
・自分で陰部を舐めてしまって少量の出血であればわからなくなってしまう
~オーナー様が気付いた時には開始日から遅れている~
・そもそも、出血していない=無出血性発情
ってことがあるからです。
だからこそ、
交配適期の目安として、発情出血開始日を指標にすると不受胎のこともあるし、
~理由は①発情出血開始日が曖昧なため②発情出血開始から排卵までの日数に個体差が大きいための2点~
(オーナー様の認識する)発情出血開始から5日後に来院してプロジェステロン値を測定してみたら5.0ng/mlを超えていた!
ということも稀ではなく起こります。
~実際の発情出血開始日はもっと早かったことが要因の一つとして予想されます~
とはいえ、
交配適期を考えたり、プロジェステロンを測定することを闇雲にスタートすることはできないので…
オーナー様が観察した発情出血開始の日を重要視しています。
もちろん、
その日は絶対ではない!という前提です。
③必要なのはLHサージの日
「プロジェステロンの値が〇ng/mlだから交配適期ですよね」
「〇ng/mlってことは排卵の日ですよね」
「他院で測定して〇ng/mlだったので交配適期じゃないかと言われたけどほんとですか?」
こんな感じの質問をよくいただきます。
プロジェステロンの数値と交配適期や排卵の日を結びつけて考えられているオーナー様が数多くいるんだなぁという印象です。
~熱心に勉強されているオーナー様だなぁと感心します~
たしかに、
プロジェステロンの値が〇ng/mlだから適期だとか排卵日だとかは言えなくもないと思います。
そういう考え方を否定しません。
しかし、
精度に欠けます。
交配適期を考えるにあたって
プロジェステロン値で(ある程度)正確に分かることはLHサージの日だけです。
1ng/ml前後の基礎値から2~4ng/mlにあがるLHサージの日を知る目的だけにこの検査をしています。
~LHサージのことは前述しています~
言うまでもなく、
(LHサージの日を正確に知るためには)LH=黄体形成ホルモンを院内測定できれば一番です。
しかし、
それ(LHの測定)が獣医療ではかんたんにできないのでプロジェステロンの値からLHサージの日を推定しています。
交配適期や排卵日はプロジェステロン値ではなく、LHサージの日から計算で推定しています。
~くわしくは前述の内容を参考にしてください~
LHサージの日までのプロジェステロン値の推移(=1ng/ml前後の基礎値から2~4ng/mlにあがること)は全犬種でほぼ同じですが、
LHサージの日以降のプロジェステロン値の推移(2~4ng/mlから緩やかに上昇するのかor急激に上昇するのか)は犬種によってバラバラです。
だからこそ、
プロジェステロンの値が〇ng/mlだから適期だとか排卵日という判断は精度を欠きます。
~ある犬は10ng/mlが適期だけど、ある犬は15ng/mlが適期みたいなことが起きます~
~個体差が大きすぎる!~
プロジェステロン値を測定することはLHサージの日を知るためといっても過言ではありません。
~LHサージの日から間接的に交配適期を計算します~
④適期に交配したとしても…
プロジェステロン値から推定した交配適期に交配したのに残念ながら…
という報告を受けることもあります。
多くのオーナー様がご存じだと思いますが、
交配したのに受胎しない、いわゆる不妊の原因は様々あります。
雌犬の不妊の原因をいくつか挙げると…
交配時期のことや年齢のこともあるし、
子宮内膜過形成などの生殖器疾患、生殖器の解剖学的問題、ブルセラ症などの感染症もあります。
もちろん、
雄犬と雌犬の相性のようなメンタル面のこともあります。
このように、
様々な原因が考えられる中で、
(特に若い雌犬の不妊の場合)
適切な時期に交配していないという原因が多いと言われています。
なので、
自然交配or発情出血開始日を目安にした交配でうまくいかない場合
~もしくは、最初から妊娠確率を高めたい場合~
まずは、
プロジェステロン値によるLHサージの推定からの交配適期診断をおすすめしています。
~プロジェステロン値をモニターすることによって無排卵性発情などの発情の乱れも推定可能です~
もしも、
交配適期に交配してもなかなか妊娠しない
具体的には、
3回以上の発情周期で交配適期に交配しても妊娠しない
~3回以上は私の経験からくる個人的見解であり、なんのエビデンスもありません~
ならば、
妊娠を妨げている原因を探すことを提案しています。
とはいえ、
その原因がわからない例が大多数になります。
~獣医療では卵巣・卵管・子宮の解剖学的異常の発見はむちゃくちゃ困難です~
ちなみに、
不妊の原因には雄犬の問題もあるのですが、雄犬の問題で不妊ということは少ないだろうと私は思ってます。
なぜならば、
犬の交配では実績ある慣れた雄犬に活躍してもらうことがほとんどだからです。
繰り返しになりますが、
当院で交配適期の診断や検査を希望される場合は、副院長を必ず指名して来院していただきますようお願いいたします。
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