ネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)ワクチンとPCR検査

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 今回もちょっとしたお知らせになります。

 当院ではネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)ワクチンの在庫を復活させました。

↑日本で唯一のネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)ワクチンです。どのワクチンもそうですが100%安全で有効なワクチンなんてこの世に存在しません。

 なぜならば、ネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)ワクチンについて問い合わせ、接種希望のお声をいくつかいただいたからです。

 今流通しているネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)ワクチンは、いくつかあるサブタイプの中でペタルマ株(サブタイプA)と静岡株(サブタイプD)のウイルスを不活化して製造されたものになります。

 すべてのサブタイプ、ましてや変異した未知のサブタイプへの免疫を保証したワクチンではありません。

「このワクチンを接種すればネコのFIVは絶対大丈夫!心配なし!」

 というものではありません。

 さらに、初年度は3回の接種が必要になります。

 ネコちゃんの場合はワクチンに関連した腫瘍もあるので、アジュバンドを含んだワクチンを何度も接種するのはすこし心配だなというのもあります。

 とはいえ、ネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)予防には、屋内完全飼育が理想とは言え、それが難しいケースもあるので、ワクチンの利点もあるのかなとは思います。

 メリット、デメリットを考慮してオーナー様の希望があればネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)ワクチン接種を再度実施していこうかと思います。

あと、

 ネコのFIV(猫免疫不全ウイルス)の感染有無を調べる検査で、PCR検査はどうなの?ということも近頃よく尋ねられます。

 私の考えを書くと、

 生後半年を過ぎたネコちゃんなら、通常の抗体検査で問題ない

 と思います。

 院内でバコンとするキット検査とPCR検査結果で感染有無についておおきな相違はないと思います。

 そもそも、PCR検査(ネコ免疫不全プロウイルス定性検査)は時間と費用がかかります。費用対効果がどれだけあるのかは成猫については疑問です。FIVワクチンを接種しているネコちゃんも少ないと思いますし。

 ただ、移行抗体の可能性のあるまだ小さなネコであれば、PCR検査(ネコ免疫不全プロウイルス定性検査)も場合によってはいいかなぁとは思います。

 PCR検査(ネコ免疫不全プロウイルス定性検査)ではお母さん猫からの移行抗体の影響を受けません。ネコのFIVにほんとに感染しているか否かを正確に判定できます。ただそれでも100%正確ではないですが。

 ちなみにPCR検査(ネコ免疫不全プロウイルス定性検査)ではワクチン抗体の影響も受けません。

 幼猫ちゃんで費用と、結果がわかるまでの5日前後の時間をもし許すならPCR検査(ネコ免疫不全プロウイルス定性検査)も検討していいかなぁという感じです。

 今のところ当院では、これまで通り院内で可能かつ迅速なキット検査を主体として実施していこうと思っています。

 ただ、PCR検査(ネコ免疫不全プロウイルス定性検査)を希望されるオーナー様がいらっしゃいましたら、必ず副院長にご相談ください。時間と費用がキット検査と比較してかかりますが、可能な限り対応しようと思います。


猫の情報
2021年07月12日