そしてまた、ネコの甲状腺機能亢進症

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 また、ネコの甲状腺機能亢進症のお話か…。そう思われても仕方ありません。たいして新しい内容もないのですが、また書きます。

 ここ2~3か月くらい、ネコちゃんの甲状腺機能亢進症を疑って当院を来院されるオーナー様が増加しています。10歳以上のネコちゃんで、「けっこう食べているのに痩せてきている。嘔吐や下痢もある。」「甲状腺機能亢進症ではないだろうか?」といった主訴でオーナー様がよく来院されます。

 ということで、最近ネコちゃんの甲状腺機能亢進症で思ったことや感じたことをいくつか書かせていただきます。

①ほんとに甲状腺機能亢進症なのか?

 典型的な主訴だとしても、私は、当然他の様々な病気も念頭に診療にあたります。慢性的な消化器症状、体重減少というのは甲状腺機能亢進症だけではありません。

 高齢のネコちゃんが徐々に体重減少!だと、私は個人的に消化器型リンパ腫も考えないといけないなとは思ってます。ネコちゃんの消化器型リンパ腫は、特異的な症状もなく診断が難しい疾患だと思っています。

②T4の値の解釈

 それこそT4値が8μg/dlをオーバーしている状況だと診断はクリアだと思うのですが、実際3.8μg/dl前後というネコちゃんも結構存在します。

 「内分泌疾患は数値の前に症状ありき」という基本に立ち返り、臨床症状とT4値、その他の検査項目を総合的に考えて診断します。もちろん1か月前後おいて、T4値再検査というのも考えます。

↑フジフィルム様のT4測定用のキット。大変お世話になっております。このキットを↓のマシンにセットすると嘘みたいに簡単に測定できます。

↑当院では、1年ちょっと前から甲状腺ホルモンの一つであるT4を↑のマシンで院内で測定できるようになりました。これは大きな変化で、かつては外注で測定していただいて3日はかかって得られていた数値が15分弱で知ることができるようになるという変化です。めちゃ大きな変化です。

③チアマゾールの副作用のチェック

 ネコちゃんの甲状腺機能亢進症診断後、内科治療を選択されたとして、まずはチアマゾール1.25mg 一日一回から私は処方しています。副作用の動向とT4値、なにより臨床症状、体重をみながら薬用量を増減するようにしています。

 多くのネコちゃんはとくに大きな副作用もなく、症状を改善させることができます。幸いなことに腎機能について大きな悪化を確認したこともありません。

 ただ、皮膚の痒みがでる、機嫌の上下感などといった副作用がでる場合もあるので、チアマゾールの休薬も含めた薬用量の増減は常に考えないといけないなと思います。

④治療に対するオーナー様の満足度

 私自身、ネコちゃんの甲状腺機能亢進症を外科治療したことはないので外科のことはわかりませんが、内科治療を実施した限り、オーナー様の治療への満足度はかなり高いと感じました。

 ネコちゃんがなんか落ち着いたというのが大きいと思います。いままでなんかソワソワして気性が荒かったのが性格の変化ではなく、病気のせいだったんだと気づかされます。オーナー様とネコちゃんの落ち着いた安定した生活を得られるというのは大きな治療の成果だと思いました。

⑤チロブロック錠(チアマゾール)の投薬へのやさしさ

 前にもお話ししましたが、ネコちゃんの甲状腺機能亢進症のお薬で人体薬のメルカゾールは処方がほんとに大変でした。分割にあたって、かなり困難と時間を伴いました。処方をお待たせすることもありました。

 ところがネコちゃん専用薬であるチロブロック錠が上市されたとともにこのストレスがなくなりました。

 チロブロック錠はほんとに小さなお薬です。手からコロコロ落ちるくらい小さいです。この小ささについてはまた別途書こうとは思ってます。

 とはいえ薬剤の小ささは、ネコちゃんへの投薬のしやすさにもつながり、オーナー様からも大変好評です。薬剤をうまくコーティングしていただいているのも大きいとは思います。

 ということで、ネコちゃんの甲状腺機能亢進症について感じたことをいくつか書かせていただきました。

 私自身、多くのネコちゃんの診断・治療を通して、もっとよい方法・やり方がないか常に勉強させていただいてアップデートしています。よりよい診療のためにはオーナー様の診療への感想・気付きがとても重要です。オーナー様にとって不明な点、不満な点がありましたら遠慮なく副院長の私に直接申しつけてください。よろしくお願いいたします。

2021年05月29日